ドローン大辞典
無人航空機|用語解説|ドローン大辞典
概要
無人航空機とは、航空法に基づき定義される飛行体の区分であり、ドローン規制の中核となる概念である。機体の構造や操縦方式、重量によって法的に明確に分類され、登録制度、飛行許可・承認、操縦者の技能証明など、運航に関する各種義務はこの定義を前提として適用される。
無人航空機の定義と分類
航空法において無人航空機とは、以下の条件をすべて満たすものを指す。
人が乗ることができない構造の飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であること
遠隔操作または自動操縦により飛行させることができること
機体本体とバッテリーの合計重量が100g以上であること
この重量基準は重要であり、100g未満の機体は「模型航空機」に分類され、無人航空機としての登録制度や特定飛行の規制対象外となる。ただし、模型航空機であっても、空港等周辺の空域や一定高度以上の空域など、一部の飛行制限は適用される。
機体の種類と特徴
無人航空機は、構造や飛行特性により主に以下の3種類に分類される。
回転翼航空機(マルチローター)
複数のローターを備え、ホバリングや垂直離着陸が可能な機体である。空撮、点検、測量など幅広い用途で利用されている。回転翼航空機(ヘリコプター型)
単一のローターを持つ形式で、積載量が大きく、比較的長時間の飛行が可能である。農薬散布などの分野で普及している。飛行機(固定翼機)
翼の揚力を利用して飛行するためエネルギー効率が高く、長距離・長時間の飛行に適している。一方で、離着陸には滑走路や広いスペースが必要となる。
飛行ルール(航空法による規制)
無人航空機の飛行は、航空法により空域と飛行方法の両面から管理されている。
飛行禁止空域(許可が必要)
以下の空域での飛行は原則として禁止されており、飛行させる場合は国土交通大臣の許可が必要となる。
飛行の方法(承認が必要)
次の方法に該当する飛行を行う場合には、国土交通大臣の承認が必要となる。
これらはいずれも特定飛行に該当し、飛行前には飛行計画の通報、飛行後には飛行日誌の作成・携行が義務付けられている。
飛行カテゴリーと操縦者制度
2022年12月の制度改正により、無人航空機の飛行はリスクに応じて3つのカテゴリーに分類され、操縦者の技能証明制度が導入された。
カテゴリーⅠ
特定飛行に該当しない飛行であり、150m未満、非DID、目視内飛行などが該当する。原則として手続きなしで飛行可能である。
カテゴリーⅡ
特定飛行に該当するが、立入管理措置を講じる飛行である。夜間飛行や目視外飛行などが含まれ、原則として許可・承認が必要となる。ただし、条件によっては二等以上の技能証明を保有することで、機体認証が不要となる場合がある。
カテゴリーⅢ
特定飛行かつ立入管理措置を講じない飛行であり、有人地帯における目視外飛行、いわゆるレベル4飛行が該当する。
この場合、以下の要件がすべて必須となる。
一等無人航空機操縦士の技能証明
運航管理ごとの個別の許可・承認
レベル3.5飛行
カテゴリーⅡに位置付けられる新しい運用形態であり、機上カメラなどのデジタル技術を活用することで、補助者や看板配置を不要とし、道路や鉄道の一時的な横断飛行を可能とする制度である。操縦ライセンスの保有、賠償責任保険への加入、機上カメラによる安全確認が要件とされている。
運用上の重要義務
無人航空機の運航にあたっては、以下の義務が課されている。
事故・重大インシデントの報告
人の死傷、物件の損壊、有人航空機との衝突などが発生した場合には、直ちに飛行を中止し、国土交通大臣へ報告しなければならない。アルコール・薬物の禁止
アルコールや薬物の影響下での操縦は禁止されている。
無人航空機は、空の産業革命を支える重要な技術である一方、ひとたび事故が起これば重大な被害をもたらす可能性がある。そのため、定義や分類を正しく理解し、航空法に基づくルールと手続きを遵守したうえで、安全な運航を行うことが不可欠である。
関連用語:模型航空機/航空法/人口集中地区/特定飛行/機体登録/リモートID/カテゴリーⅠ/カテゴリーⅡ/カテゴリーⅢ/レベル4飛行