ドローン大辞典
物件|用語解説|ドローン大辞典
概要
航空法における「物件」とは、無人航空機の飛行ルールの中でも特に重要な概念であり、「第三者の物件との間に30mの距離を保つ義務」や「物件投下の禁止」を理解するうえで欠かせない用語である。都市部やインフラ周辺での飛行可否判断、許可・承認の要否を左右するため、操縦者はその範囲と意味を正確に把握しておく必要がある。
「物件」の定義と具体例
航空法上で規制対象となる「物件」とは、操縦者およびその関係者が所有または管理していないもの、すなわち第三者の物件を指す。この「物件」は、主に次の二つに分類される。
「物件」に該当するもの
以下は保護対象となる物件であり、原則としてこれらとの間に30m以上の距離を保って飛行させなければならない。
中に人が存在することが想定される機器
自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾クレーンなど建築物その他の相当の大きさを有する工作物
ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯など
これらは、衝突時に人命や社会インフラへ重大な影響を及ぼす可能性があるため、特に厳重な距離確保が求められている。
「物件」に該当しないもの
次に挙げるものは、規定の趣旨に照らし、30mの距離確保が求められる「物件」には該当しない。
土地
田畑、舗装道路の路面、堤防、鉄道の線路など、土地と一体となっているもの自然物
樹木、雑草など
これらは損壊しても第三者の生命や財産への直接的な危険性が比較的低いため、30mルールの対象外とされている。
「物件」に関連する主な規制
「物件」という概念は、複数の航空法規制と密接に結びついている。
30m未満の接近飛行
無人航空機は、第三者の物件から30m以上の距離を保って飛行させることが原則である。この距離を下回る飛行は特定飛行に該当し、実施する場合には国土交通大臣の承認が必要となる。
電柱、電線、ガードレール、信号機なども物件に含まれるため、道路沿いや市街地での飛行では特に注意が必要である。
高層構造物周辺における特例
地表または水面から150m以上の空域は原則として飛行禁止空域であるが、煙突、鉄塔、高層ビルなどの高層構造物については、その物件から30m以内の空域であれば、150m以上であっても飛行禁止空域から除外される特例が設けられている。
ただし、当該構造物が第三者の物件である場合、その30m以内での飛行は「物件への30m未満の接近飛行」に該当するため、別途承認が必要となる点に注意が必要である。
物件投下の禁止
無人航空機から物件を投下する行為は原則として禁止されており、実施する場合には承認が必要である。ここでいう物件には、荷物だけでなく、水や農薬などの液体、霧状のものを散布する行為も含まれる。
一方で、荷物を地面に置いてから切り離すなど、落下を伴わない方法は物件投下には該当しない。
実地試験における「物件」
無人航空機操縦士(二等など)の実地試験では、パイロン、旗、壁、ネットなどの物件に機体を接触させた場合、「墜落、損傷、制御不能」とみなされ、その時点で試験中止となる。これは、物件への接触が重大な安全リスクと評価されていることを示している。
ドローン規制における物件とは、主に第三者の建物、車両、電柱、電線などを指し、これらとの距離確保や物件投下の可否が安全運航の重要な判断基準となる。一方で、地面や樹木は物件に含まれず、30mルールの対象外である点も併せて理解しておくことが求められる。