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ドローン大辞典

リスク|用語解説|ドローン大辞典

リスク

リスクとは、潜在的な危険(ハザード)が現実化した場合に生じる損害の可能性を、発生確率と影響度の関係として表す概念を指す。
一般的には、

リスク = 発生確率 × 影響度
として定義され、あらゆる安全管理・品質保証・工学分野で共通して用いられる評価指標である。

ドローン分野では、飛行中に起こり得る墜落・接触・通信断・機体異常・第三者被害などの事象を対象に、
その発生確率と損害の大きさを評価し、安全対策の優先度を決定する。
リスクは完全にゼロにはできないため、「許容可能な範囲に抑える」ことが安全運航の基本理念となる。


主なリスクの種類

  • 人的リスク:操縦者・補助者・第三者への危害

  • 物的リスク:建物・車両・インフラへの損傷

  • 技術的リスク:通信障害、GPS誤差、機体故障など

  • 環境リスク:突風、磁気干渉、降雨、温度変化

  • 社会的リスク:プライバシー侵害、苦情、風評被害


リスク管理の基本プロセス

安全な運航のためのリスク評価プロセスは、体系的な手順に従って実施される。

  1. ハザードの特定:事故や損害を引き起こす可能性のある危険要素(機体、人為、環境、運用上の要因)を可能な限り多く洗い出す。

  2. 運航計画(CONOPS)の説明:運航者が計画する運航計画(日時、経路、運航体制)を明確にする。

  3. リスクの分析と評価:

  • 安全確保措置の決定:リスク評価の結果に基づき、当該運航に必要な安全性と保証のレベル(SAIL)を決定し、運航に関わる安全目標(OSO)の達成のために講じるべきリスク軽減策(フェールセーフ、立入管理、訓練、手順など)を策定する。

  • 残留リスクの確認:すべての対策を講じた後も残る残留リスクが、許容可能な範囲内であるかを確認する。

リスクとロバスト性の関係

リスク評価においては、ハザードの発生を完全に防ぐことが難しいため、ハザードが発生しても安全を維持できる仕組み、すなわちロバスト性(耐障害性・安定性)が非常に重要視される。

  • ロバスト性の定義:ロバスト性とは、外的及び内的要因による危険な状況変化への対策が効果的であるかの水準を指す。

  • 評価方法:安全確保措置のロバスト性の水準は、「安全性の水準」(安全対策がリスク低減に貢献する度合い)と、「保証の水準」(安全性が確実に達成されていることを証明する方法:試験、解析、シミュレーション、第三者検証など)の双方を考慮し、低い方の水準に準じて「低」「中」「高」の3段階で評価される。

  • 意義:ロバスト性が高いほど、通信断や機体故障といったハザードが発生した際にも、安全な自動着陸や遠隔操作(手動)への切り替えといった安全機能(フェールセーフ)によって、墜落リスクを効果的に低減できると評価される。

制度上の位置づけ

無人航空機の運航リスク評価は、安全確保のための前提条件として位置づけられており、国土交通省の許可・承認審査における安全性判断の中核概念となる。

  • ガイドラインの活用:リスク評価の実施には、JARUS SORA(Specific Operational Risk Assessment)を踏まえて作成された「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」(福島ロボットテストフィールド発行)の活用が推奨されている。

  • カテゴリーⅢ飛行(レベル4飛行):第三者上空を飛行することが前提となるため、飛行毎にリスクの分析と評価を行い、その結果を申請書に添付することが必須である。運航者はリスク軽減策(飛行経路の設定や事故回避のための対処方法等)を盛り込んだ飛行マニュアルを作成・遵守する必要がある。

  • カテゴリーⅡ飛行:立入管理措置を講じて行う特定飛行(レベル1~3相当)においても、許可・承認申請を支援する目的でリスク評価手法を適用することが可能である。

関連用語:ハザード/ロバスト性/CONOPS/地上リスク/空中リスク/SAIL/OSO/カテゴリーⅢ飛行