HUB DRONE HUB

ドローン大辞典

残留リスク|用語解説|ドローン大辞典

残留リスク(残留空中衝突リスク)とは

残留リスクとは、飛行予定エリアにおいて定性的に判定された初期の空中リスククラス(ARC)に対し、飛行前に戦略的対策を適用した後に残る有人航空機との空中衝突リスクである。

戦略的対策とは、飛行前にあらかじめ有人航空機と遭遇する確率や、リスクにさらされる時間を低減するための対策をいう。例えば、有人航空機が飛行しない時間帯に運航を限定することなどが該当する。

初期リスクがARC-d(空港周辺など極めてリスクが高い環境)であっても、運用時間帯の限定等の戦略的対策を講じることでARC-bへ低減できる場合がある。このように、対策後に最終的に残った空中リスククラスを残留ARCと呼ぶ。


残留リスクに対する戦術的対策

戦略的対策を講じてもリスクが完全に消えるわけではない。残留リスクに対しては、飛行中にリアルタイムで衝突を回避するための戦術的対策を講じる必要がある。

戦術的対策には以下が含まれる。

  • 操縦者が目視により他機を確認し回避する方法

  • 航空管制の利用

  • 機体に搭載された衝突回避システム(検知して回避する技術)の利用

残留ARCのレベルに応じて、戦術的対策に求められる性能要求レベル、ロバスト性のレベル、目標リスク値が定められている。

残留ARC-d(極めてリスクが高い)

  • 性能要求レベル:高

  • ロバスト性:高

  • 目標リスク値:0.1以下

残留ARC-c(リスクが高い)

  • 性能要求レベル:中

  • ロバスト性:中

  • 目標リスク値:0.33以下

残留ARC-b(リスクは低いが無視できない)

  • 性能要求レベル:低

  • ロバスト性:低

  • 目標リスク値:0.66以下

残留ARC-a(リスクが極めて低い)

  • 戦術的対策の性能要求なし(ただし航空局が必要と判断した場合は対策が求められる)


SAIL決定への影響

レベル4飛行などの高度な運航においては、残留する空中リスククラス(残留ARC)と、パラシュート等により被害を軽減した調整後の地上リスククラス(GRC)をマトリクスで組み合わせることで、安全性と保証のレベル(SAIL:Ⅰ〜Ⅵ)が決定される。

すなわち、残留リスクをどの程度まで低減できるかが、機体や運航体制に求められる安全基準の厳しさを左右する重要な要素となる。


残留リスクは、単なる評価上の数値ではなく、戦略的対策と戦術的対策を組み合わせた総合的な安全確保の成果を示す指標である。最終的なSAILの決定に直結するため、飛行計画段階でいかにリスクを低減できるかが、運航の実現可能性と安全性を大きく左右する。

関連用語:空中リスククラス(ARC)/戦略的対策/戦術的対策/地上リスククラス(GRC)/SAIL/リスク評価