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ドローン大辞典

安全確保措置|用語解説|ドローン大辞典

概要

安全確保措置とは、ドローンの運航によって発生し得る事故や危害のリスクを、許容可能な水準まで低減するために実施する技術的・運用的・体制的な対策の総称である。
特に特定飛行(空港等周辺の空域、150m以上の上空、人口集中地区など)を行う際は、飛行形態に応じて安全確保措置が厳格に適用され、機体・操縦者・運航管理の各要素に対して必要な適格性を確保することが求められる。
制度運用の中では、リスク評価の結果に基づき、運航者が必要な安全目標(OSO)を達成するための重要な基盤として位置付けられている。


安全確保措置の体系構造

安全確保措置は、リスク評価の結果に基づき体系的に構築される。
ここでは、リスクの把握から軽減策の適用までのプロセスを概説する。

1. リスク評価に基づく構造

安全確保措置は、以下の手順に従って整備される。

  • ハザードの特定
    飛行場所、機体性能、操縦者の技能、周辺環境などから、事故につながる危険要素を抽出する。

  • リスクの評価
    ハザードによって生じるリスクを、発生頻度および結果の重大性の観点から評価する。

  • リスク軽減策の適用
    発生確率の低減と、発生時の被害軽減の双方から適切な対策を講じる。

ここでは安全性の水準だけでなく、対策の確実性を示す保証の水準(ロバスト性)も評価される。

2. 飛行マニュアルとの連動

リスク評価の結果、必要な安全確保措置や安全目標(OSO)を実施できるよう、運航者は飛行マニュアルを作成する。
特にカテゴリーⅢ飛行では、福島ロボットテストフィールドが発行する「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」を参照してマニュアルを編成することが推奨されている。


運航体制および飛行環境に関する措置

飛行現場で直接実施する運用的・体制的な安全確保措置には、次のような項目が含まれる。

(1) 人員配置と立入管理

  • 補助者の配置
    飛行範囲や周囲の気象変化を監視し、第三者の立入りを防止する。

  • 立入管理区画の設定
    塀、フェンス、看板等により第三者の立入を制限できる場合、補助者に代えて設置することが可能。

  • レベル3.5飛行の特例
    機上カメラによる地上確認を条件に、補助者配置や看板設置が不要となる場合がある。

(2) 空中衝突回避のための対策

空中リスクに応じて、以下の措置が講じられる。

  • 目視内飛行における視認・回避

  • 検知・回避のシステムを用いた対策

  • 有人航空機または他のドローンを確認した場合の着陸や回避行動

(3) 飛行前の確認事項

飛行開始前に実施すべき基本的な安全確保措置は次のとおり。

  • 気象状況の確認

  • 空域の確認(緊急用務空域の有無等)

  • 機体の外部点検・作動点検

  • 通信系統・推進系統・電源系統の状態確認

  • 飛行計画の通報と他の計画の確認(DIPS2.0)


機体システムに関する措置

技術的な安全対策は、機体の設計・整備・機能に基づいて実施される。

(1) 機体認証と整備の義務

  • 第一種(カテゴリーⅢ対応)、第二種(カテゴリーⅡ対応)の機体認証制度により安全性の基準が担保される。

  • 登録機体は整備・改造の記録を保有し、常に登録要件を満たす状態を維持することが求められる。

(2) フェールセーフ機能

機体には不具合に対応するフェールセーフ機能が求められる。

  • 自動帰還(RTH)・自動着陸・ホバリング保持

  • 異常の識別(警告灯、警告音等)

  • カテゴリーⅢでは、冗長化された推進系統や被害軽減機能(パラシュート等)が推奨される


緊急時対応と安全確保措置

緊急時対応計画は安全確保措置の重要な一部であり、以下の要素を含む。

  • 緊急着陸地点(ELS)の選定

  • 墜落時の影響緩和を目的とした連絡体制の構築(消防・警察等)

  • 有人航空機への影響が予想される場合の警告手段

  • 訓練と検証(机上演習等)

事故発生時は、飛行中止、救護、通報を直ちに行い、その後DIPS2.0で国土交通大臣へ報告する。


安全確保措置の重要性

安全確保措置は、次の点で運航者の安全管理の中核を形成する。

  • 事故の発生および被害の拡大を防ぐ

  • 特定飛行の許可・承認審査への適合を示す

  • 機体・操縦者・運航管理の適格性を保障する

  • リスク評価に基づくOSO・SAILの達成を支える

特にカテゴリーⅡ・Ⅲ飛行では、安全確保措置が飛行の妥当性を決定づける基準となる。


関連用語:飛行マニュアル/立入管理区画/緊急着陸地点/リスク評価ガイドライン/OSO/SAIL/許可・承認/運航管理


参考元:無人航空機リスク評価ガイドライン
福島ロボットテストフィールド:https://rtf.f-rei.go.jp/