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ドローン大辞典

安全性の水準|用語解説|ドローン大辞典

概要

安全性の水準(Integrity)とは、ドローンのリスク評価手法であるSORAにおいて、ある安全対策(リスク軽減策)がどれだけ効果的か、すなわち安全性をどの程度高める性能を持っているかを示す指標である。安全対策の有無ではなく、その対策がもたらす安全性の増加量そのものを評価対象とする点に特徴がある。


安全性の水準の位置づけ

SORAに基づくリスク評価では、個々の対策の強固さをロバスト性として評価する。ロバスト性は、次の二つの要素を組み合わせて決定される。

  • 安全性の水準(Integrity)
    対策そのものが持つ性能や効果の大きさ、すなわち安全性の増加度合いを示す。

  • 保証の水準(Assurance)
    その対策が確実に機能することを、どのような証拠や検証方法で裏付けているかを示す。

ロバスト性の最終評価は、この二つのうち低い方に合わせて決定される。そのため、安全性の水準が高い対策であっても、保証の水準が低ければ、全体としての評価は低くなる。


安全性の水準の評価例

安全性の水準は、対策の種類ごとに求められる性能指標が異なる。以下は代表的な例である。


地上リスクに対する衝撃軽減対策の例

機体が墜落した際の被害を軽減するため、パラシュート等を用いる対策(M2)では、安全性の水準が次のように区分される。

  • 低
    死亡の可能性は残るものの、衝突時の衝撃や、火災・部品飛散などの二次的危険が大幅に低減される設計であること。

  • 中
    衝撃およびその後の危険が、合理的に見て死亡の可能性がないと判断できる水準まで低減されていること。

  • 高
    中の要件を満たしたうえで、パラシュート等の起動が自動化されていること。操縦者の操作に依存せず、システムが自律的に作動することが求められる。


空中衝突回避に関する対策の例

有人航空機との衝突を避けるための戦術的対策では、機能の信頼性、すなわち機能喪失の頻度によって安全性の水準が定義される。

  • 低
    機能の損失が100飛行時間あたり1回未満であること。

  • 中
    機能の損失が1,000飛行時間あたり1回未満であること。

  • 高
    機能の損失が100,000飛行時間あたり1回未満であること。

このように、安全性の水準は定性的な印象ではなく、数値で示される信頼性要件として設定される。


運航安全目標(OSO)における例

運航体制や機体設計に関する運航安全目標(OSO)においても、安全性の水準は段階的に定義されている。

OSO#05(システムの安全性)を例にすると、次のように整理される。

  • 低
    故障が発生した場合でも、その危険性が最小限に抑えられる設計であること。

  • 中
    重大な故障の発生頻度が、起こりそうにないとされるレベルよりも低いこと。

  • 高
    壊滅的な故障の発生頻度が、非常にありそうにないとされるレベルよりも低いこと。


実務上の考え方

安全性の水準とは、その安全対策を導入することで、具体的にどの程度の性能や効果が得られるかを示す目標値や仕様である。SORAに基づくリスク評価では、まず求められる安全性の水準を明確に定め、その後に、それを裏付ける保証の水準を整えることで、全体として十分なロバスト性を確保する。

特に高リスクな運航やカテゴリーⅢに該当する飛行では、高い安全性の水準が前提となるため、機体性能、冗長設計、自動化機能などが重要な評価要素となる。


関連用語:ロバスト性/保証の水準/SORA/運航安全目標(OSO)/カテゴリーⅢ