ドローン大辞典
SORA|用語解説|ドローン大辞典
概要
SORA(Specific Operations Risk Assessment)とは、ドローンの運航に伴うリスクを体系的に評価するための手法であり、JARUS(Joint Authorities for Rulemaking on Unmanned Systems)が策定した国際的なリスク評価フレームワークである。日本では、特にレベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)などのカテゴリーⅢ飛行において、このSORAの考え方を取り入れ、日本の制度と整合させたガイドラインの活用が推奨されている。
SORAの位置づけと目的
SORAは、ドローン運航における安全性を「感覚的」ではなく、「構造的・段階的」に評価することを目的とした手法である。
地上の第三者リスクと、空中の有人航空機との衝突リスクを分けて評価し、それらを統合したうえで、必要な安全対策を明確にする点に特徴がある。
日本では、福島ロボットテストフィールドが発行するガイドラインにおいて、SORAの考え方を基礎としたリスク評価プロセスが整理されており、国土交通省による高度な飛行許可・承認審査の前提として用いられている。
SORAのリスク評価プロセス
SORAでは、運航リスクを以下の6つのステップで評価する。
Step #1:運航計画(CONOPS)の明確化
最初に、運航の全体像であるCONOPS(Concept of Operations)を整理する。
誰が操縦・管理するのか
何を目的として飛行するのか
どこで飛行するのか
どのような方法・体制で運航するのか
これらを文章と図で明確にし、以降のリスク評価の前提条件とする。
Step #2:地上リスクの把握(GRCの決定)
ドローンが墜落した場合に、地上の人に与えるリスクを評価する。
機体の大きさや重量(運動エネルギー)
飛行エリアの人口密度
第三者の立ち入り状況
これらを基に、地上リスククラス(GRC)を判定する。
パラシュートの搭載や立入管理措置、緊急時対応計画などを講じることで、GRCを低減することも可能である。
Step #3:空中リスクの把握(ARCの決定)
有人航空機と衝突するリスクを評価するステップである。
これらの条件から、空中リスククラス(ARC)をARC-aからARC-dまでの4段階で判定する。
さらに、飛行時間の調整や事前調整といった戦略的対策により、ARCを低減できる場合もある。
Step #4:SAILと運航安全目標(OSO)の決定
地上リスク(GRC)と空中リスク(ARC)を組み合わせ、総合的なリスク指標であるSAIL(Specific Assurance and Integrity Level)を決定する。
SAILはレベルⅠからⅥまで設定されており、レベルが高いほど求められる安全対策も厳しくなる。
SAILが決まると、その運航に必要な具体的な運航安全目標(OSO)が定まる。
OSOには、操縦者の技能、機体の安全設計、整備体制、緊急時対応、運航管理など、約24項目が体系的に整理されている。
Step #5:隣接エリアの考慮
飛行予定エリアから逸脱した場合に、特に危険度の高い隣接エリアへ侵入しないかを評価する。
これらへの侵入を防ぐため、ジオフェンスや飛行範囲制限、運用ルールの設定などの対策を検討する。
Step #6:評価結果への対応
最終的に導き出されたOSOを満たすため、具体的な対策を実装する。
飛行マニュアルの作成
訓練・教育体制の整備
機体機能や性能の証明
試験結果や運用実績の整理
これらを通じて、計画された運航が要求される安全水準を満たしていることを示す。
ロバスト性という考え方
SORAでは、安全対策の強固さをロバスト性という概念で評価する。
ロバスト性は、次の2つの要素で構成される。
この2つのうち、低い方が最終的なロバスト性の評価となる。
運用上の意義
SORAは、ドローン運航におけるリスクを地上と空中の両面から客観的に整理し、その結果に応じて必要な安全対策を導き出すための枠組みである。
日本においては、第三者上空を飛行する高度な運航、特にカテゴリーⅢ飛行の許可・承認審査において、この考え方に基づいたリスク評価が実質的な前提となっている。