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ドローン大辞典

ハザード|用語解説|ドローン大辞典

ハザード

ハザードとは、事故や損害を引き起こすおそれのある潜在的な危険源や要因を指す。
工学、安全管理、航空分野などで広く用いられる概念であり、リスク評価において最初に特定すべき出発点となる。

ドローン(無人航空機)の運航においては、飛行中や運用過程で発生し得る、事故等につながる可能性のある危険要素(潜在的なものを含む)を指す。
これらを早期に洗い出すことで、事故の予防と、リスクを許容可能な程度まで低減するための安全対策(リスク軽減策)の立案が可能になる。

ドローン運航における主なハザードの例

ドローン運航におけるハザードは、運航計画(CONOPS)を策定する上で、技術的・運用的な観点から確認すべき多岐にわたる項目と関連している。

  • 機体的要因:機体の物理的特性の限界(最大高度、最大航続時間、最大上昇率、超過禁止速度など)。動力システムのバッテリー異常(過充電・過放電、衝撃による発火、端子の短絡)、モーター停止、プロペラ破損、通信断(C2リンクの途絶)、GNSSの電波異常や測位誤差、センサーの不具合(ジャイロ、加速度、地磁気など)。

  • 人的要因:操縦ミス、疲労やストレス、判断遅れ、操作系統の誤認。リモートクルーが職務を安全に遂行できない(肉体的・精神的疲労)状態にあること。

  • 環境要因:気象条件による性能限界(風速限界、乱流限界、雨、雹、雪、降灰、着氷、最低視程条件など)。突風、海陸風・山谷風、電波障害、磁気干渉(高圧線、変電所、鉄道、鉄材を多く使用した建物など)。

  • 運用要因:飛行計画の不備(CONOPSの説明の不徹底)、立入管理措置の不徹底、補助者不足、外部システム(GNSS等)の機能劣化への対処不足、ヒューマンエラーを考慮しない手順、緊急時対応手順の不備。

ハザードとリスクの違い

  • ハザード:危険の原因そのもの(例:機体の故障、強風、通信断など)。

  • リスク:ハザードが現実化した場合の「予測される頻度(発生確率)」と「結果の重大性(被害の大きさ)」の組合せにより計量されるもの。

ハザードの洗い出しはリスク評価の第一段階であり、リスクを評価した上で、許容可能な程度まで低減するための安全対策設計の基礎となる。

ロバスト性との関係

ハザードを完全に排除することは困難であるため、リスク評価では、ハザードが発生しても安全を維持できる仕組み、すなわちロバスト性(耐障害性・安定性)の確保が非常に重要視される。
ロバスト性とは、外的および内的要因による危険な状況変化への対策が効果的であるかの水準を指し、「安全性の水準」と「保証の水準」の組み合わせによって評価される。

  • 技術的なロバスト性:機体不具合(ハザード)が発生した場合のリスク軽減策として、信頼性の高い機材の使用(発生確率の低減)や、墜落時に地上被害を低減するパラシュートやエアバックの装備。また、通信断やGNSS異常に備えたフェールセーフ機能、飛行エンベロープ(飛行範囲)超過を防ぐ自動保護機能などが求められる。

  • 運用上のロバスト性:緊急時対応計画を設定し、リモートクルーの職務を明確化し、訓練を通じて異常および緊急事態を制御できる能力を維持すること(OSO#09、OSO#15)。

制度上の位置づけ

無人航空機の運航リスク評価は、安全確保措置検討のための前提条件と定義されている。
国土交通省の「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」では、ハザードを「無人航空機の運航の安全に影響を及ぼす可能性のある要因」として特定している。
飛行許可・承認申請におけるカテゴリーⅢ飛行(レベル4飛行)の審査では、リスク分析および評価の結果の提出が必須である。
リスク評価プロセスは、運航計画(CONOPS)の説明から始まり、地上リスクと空中リスクの把握、安全目標(OSO)の確認を経て、最終的に飛行マニュアルへの対策反映が求められる。

関連用語:リスク評価/リスク/ロバスト性/CONOPS/地上リスク/空中リスク/カテゴリーⅡ飛行/カテゴリーⅢ飛行/フェールセーフ機能/リモートクルー