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ドローン大辞典

RTH(Return To Home)|用語解説|ドローン大辞典

概要

RTH(Return To Home)は、ドローンの自動制御機能の一つであり、飛行の継続が困難になった際に機体を自動的に安全帰還させる機能である。
通信途絶、バッテリー電圧低下、操縦者の判断による帰還操作などにより作動し、機体の回収と第三者への危害防止を目的とする。
国土交通省のリスク評価ガイドラインでは、RTHは安全目標(OSO)#10「技術的な問題から安全な復旧ができること」を達成するための重要な安全対策として位置づけられている。


定義と目的

RTHは、フライトコントローラー、GNSS(Global Navigation Satellite System)、コンパス、高度センサー(バロメータなど)などのセンサー連携によって実現される自動操縦システムの一部である。
機体の位置情報や状態を正確に把握し、設定された経路で自動的に帰還する。

主な目的:

  • 制御喪失時の安全な復旧(C2リンクの喪失時に自動帰還)

  • 電源系統異常への対処(電圧低下・過熱時の自動帰還または着陸)

  • 想定外空域への逸脱防止(安全経路への復帰)

GNSS信号に異常がある場合は、GNSS以外の手段による位置保持または安全な自動着陸が可能な代替機能を備えることが望ましい。


作動条件と動作の流れ

RTHは、運航者が定義する「C2リンク喪失条件」や「単一故障モードおよびリカバリーモード」に基づいて動作する。

主な作動条件(フェールセーフ機能の例):

  • ロストリンク:一定時間の通信断絶が継続した場合

  • 電源系統異常:電圧・容量・温度などの異常発生時

  • 手動操作:操縦者によるRTH作動指示

動作の流れ(一般的な自動帰還機能):

  1. トリガー発生(通信断絶など)

  2. GNSSにより現在位置とホームポイントを確認

  3. 障害物回避高度まで上昇

  4. 安全経路を通って帰還

  5. 離陸地点上空でホバリング後、自動着陸

帰還中も操縦者が手動制御を再取得できる設計が推奨される。


法制度とリスク評価

  1. 飛行許可・承認申請における要件
    カテゴリーⅡ飛行(特定飛行)の許可・承認では、RTHを含む危機回避機能(フェールセーフ機能)の適正動作、およびGNSS異常時の代替安全機能が求められる。
    DIPS2.0申請では、これらの機能を安全対策として飛行マニュアルに具体的に記載することが推奨される。

  2. リスク評価(SAIL/OSO)での位置づけ
    RTHは、運航リスク評価ガイドラインにおける運航安全目標(OSO)のうち、以下に該当する。

  • OSO#10(技術的問題からの安全な復旧):単一故障やソフトウェア開発エラーによって制御不能や逸脱が生じないように設計されていること。

  • 要求ロバスト性:リスクレベル(SAIL)に応じ、「低」「中」「高」のいずれかが設定され、カテゴリーⅢ飛行では特に高水準のロバスト性が求められる。


実務上の活用

産業用途の長距離点検・測量・配送などの自動航行では、RTHは通信途絶時のコンティンジェンシー手順として運用計画に組み込まれている。
操縦者およびリモートクルーは、RTH作動時の挙動と解除方法を理解し、異常時に即応できるよう訓練を受ける必要がある。
技能証明制度(実地試験)では、RTH動作原理の理解に加え、GNSSを使用しない場合のホバリングや着陸など、RTH機能不作動時の対応能力も評価対象となる。


関連用語

関連用語:フェールセーフ機能/GNSS/フライトコントローラー/プリフライトチェック/飛行計画/カテゴリーⅡ/カテゴリーⅢ/安全目標(OSO)/安全性と保障のレベル(SAIL)/航空法