HUB DRONE HUB

ドローン大辞典

戦術的対策|用語解説|ドローン大辞典

概要

戦術的対策とは、ドローン(無人航空機)の飛行において、飛行中に有人航空機との空中衝突を回避するために即時に実施される安全確保のための具体的な対応策を指す。
飛行前に実施される戦略的対策(Strategic Mitigation)と対比され、高リスクな空域において安全な間隔を維持し、衝突を回避することを目的とする。
リスク評価(SORA)の結果に基づき、残留空中リスククラス(ARC)を許容可能な水準まで低減するために設定され、その有効性に応じてロバスト性のレベルが割り当てられる。


主な手法と要件

戦術的対策は、無人航空機が飛行中に他の航空機を検知して回避する能力(DAA: Detect and Avoid)を中心とし、技術的対策と運用的手順の両面から構成される。

  • 検知・回避システム:機上または地上に搭載された衝突防止装置や検知システムを利用し、有人航空機を特定して衝突を回避する(例:ADS-B INや地上レーダー情報の利用など)。

  • 目視による回避:リモートパイロットまたは補助者が目視で有人航空機を確認し、必要に応じて回避操作を行う(カメラなどによる補助監視も含む)。

  • 運用上の回避手順:有人機の進入が確認された場合、飛行高度を下げる・一時停止するなどの緊急対応を実施する(安全高度への降下や退避を含む)。


戦術的対策の性能要求とロバスト性

戦術的対策は、残留空中リスクを許容可能水準に低減するための手段として、空中リスククラス(ARC)ごとに性能要求レベルが定められている。

  • ARC-d(最も高リスク):対策の性能要求レベル=高/ロバスト性=高

  • ARC-c:対策の性能要求レベル=中/ロバスト性=中

  • ARC-b:対策の性能要求レベル=低/ロバスト性=低

  • ARC-a(最も低リスク):対策の性能要求レベル=不要/ロバスト性=不要

ロバスト性とは、外的および内的要因による危険な状況変化に対して、対策がどの程度効果的であるかを示す水準であり、ロバスト性が高いほど対策の信頼性も高いと評価される。


運航計画(CONOPS)との関係

戦術的対策に関する手順は、運航者が策定する運航計画(CONOPS)の「異常時の運航」および「緊急時の運航方針」に明記される。
通常時の運航条件や通信断・センサー異常などに対する対応を定め、飛行マニュアルに反映させることで、現場対応と制度的安全保証を両立させる。


限界と注意点

戦術的対策は空中衝突リスクを軽減するための重要な要素であるが、恒常的な安全性は機体設計・製造(型式認証/機体認証)や運航体制(リモートクルー訓練)などの包括的な安全確保措置(OSO)によって担保される。
特にレベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)のような高リスク運航では、リスク評価(SORA)に基づくロバスト性の確保が必須である。
戦術的対策のみではリスクを完全に除去できないため、SORAに基づく総合的なリスクマネジメントを併用することが求められる。


関連用語:戦略的対策/空中リスク/安全性と保証のレベル(SAIL)/安全目標(OSO)/運航計画(CONOPS)/リモートクルー/特定飛行/DIPS2.0