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ドローン大辞典

緊急着陸地点|用語解説|ドローン大辞典

概要

緊急着陸地点(ELS:Emergency Landing Site)とは、ドローンの飛行中に通信途絶、バッテリー異常、機体故障などの緊急事態が発生した際、安全に着陸させるためにあらかじめ設定・確保しておく場所を指す。
航空法および国土交通省のガイドラインでは、特定飛行を行う場合、飛行計画やリスク評価の段階で緊急着陸地点の設定が推奨されている。
この地点の選定は、第三者上空での事故防止や物件損壊を回避するうえで極めて重要であり、飛行許可・承認の審査においても安全対策の一要素として位置づけられている。


定義と目的

緊急着陸地点とは、ドローンが通常の飛行経路上で想定外のトラブルに見舞われた場合に、安全に機体を降下させるための代替着陸場所である。
目的は、人的・物的被害を最小限に抑え、安全性と保障のレベル(SAIL)に応じたリスク低減を実現することである。
特に人口集中地区(DID地区)や第三者上空を飛行するカテゴリーⅢ飛行など、リスクの高い運航においては、事故等の報告要領に定める事態への対応として、厳格な安全確保措置が求められる。


選定基準

緊急着陸地点の設定にあたっては、以下の基準が考慮される。

  • 第三者の立ち入りが少ない開けた場所(立入管理区画の確保が容易であること)

  • 電線、建物、樹木などの障害物が存在しないこと

  • 機体寸法に応じた、安全に着陸できる平坦地であること

  • 通信環境やGNSS受信状況が安定していること

  • 周辺に可燃物や危険物がないこと

  • ドローンの自動帰還機能(RTH)またはフェールセーフ制御と連携可能であること

これらの条件を満たす地点を、運航計画(CONOPS)の段階で設定し、運航管理者および操縦者が共有する。


運用と管理

緊急着陸地点は、飛行経路上に複数設定し、飛行前にプリフライトチェックの一環として確認することが望ましい。

  • 運航マニュアルへの明記:運航マニュアルには、緊急着陸場所の設定方針や、事故等の報告要領に定める事態への対応および連絡体制を明記することが求められる。

  • DIPS2.0と連携:DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)で飛行計画を通報または申請する際、緊急着陸地点を考慮した安全な経路を設定する必要がある。特にレベル4飛行やエリア単位での飛行では、設置された緊急着陸地点(ELS)の定期的な現地確認を行い、安全管理体制の維持に努めることがリスク軽減策の一部として推奨されている。


関連法令と制度

航空法第132条の86では、操縦者に飛行の方法に関する安全確保義務が規定されており、緊急着陸地点の設定は、緊急時の対応体制整備としてその一環とされる。
国土交通省のリスク評価ガイドライン(RTF SORA)では、緊急着陸地点の設定は、墜落時の影響拡大を抑制する緊急時対応計画(M3)の要素として期待されている。
また、リモートクルーが異常・緊急事態を制御できる能力(OSO#15)を維持するための訓練において、緊急着陸への対応能力が重要となる。
無人航空機操縦者技能証明制度に基づく登録講習機関の訓練でも、緊急着陸地点の活用を含む安全な着陸手順の理解が基礎技術として評価対象となる。


関連用語

関連用語:フェールセーフ/飛行計画/立入管理区画/第三者上空/リスク評価/DIPS2.0/カテゴリーⅡ/カテゴリーⅢ/航空法/安全性と保障のレベル(SAIL)