ドローン大辞典
緊急時対応|用語解説|ドローン大辞典
概要
緊急時対応とは、飛行中に異常事態が発生した際、ドローンの飛行を即時に中止し、人命救助を最優先としつつ、被害の拡大を防止するために講じる一連の措置である。異常は機体の不具合、気象条件の急変、他の航空機・第三者の接近、操縦者の操作ミスなど多岐にわたるため、運航者は飛行前に緊急時対応計画を策定し、現場で確実に実施できる体制を整えておくことが求められる。
事故・重大インシデント発生時の最優先事項
事故または重大インシデント(事故につながるおそれがある事態)が発生した場合、操縦者および運航者は次の措置を即時に行う。
飛行の即時中止
機体の挙動が異常である場合や事故に直結する状況が発生した場合、ただちに飛行を停止する。救護措置の実施
負傷者がいる場合には救護と通報を最優先とし、二次被害を防ぐための行動をとる。二次被害の防止
墜落後の機体の電源遮断、バッテリーの発火リスクの排除、地上交通への影響防止など、周囲の安全確保を行う。
火災が発生している場合は消防機関への通報、事故状況によっては警察への通報も必要である。
飛行中の異常事態とその対応
飛行中に安全を確保できない状況が生じた場合、操縦者は状況に応じて直ちに以下の措置を実行する。
発生する事態 | 適切な措置 |
|---|---|
突風、操縦不能、システム異常などの不測の事態 | 即時に飛行を中止し、安全な場所へ着陸させる |
多数の者が集合している上空であることが判明 | 直ちに飛行を中止 |
有人航空機を確認 | 即時降下や着陸により接近・衝突を回避する |
他のドローンを確認 | 安全距離を確保、危険がある場合は着陸し飛行日時・経路を調整 |
飛行範囲に第三者が侵入 | 飛行中止などの安全措置を実施 |
想定外の方向へ飛行(逸脱) | 即時飛行終了、または速やかに屋内へ退避(屋内外の逸脱時など) |
機体システムによる異常時対応(フェールセーフ機能)
多くのドローンには異常時に自律的に安全動作を行うフェールセーフ機能が備わっている。
電源・バッテリー異常時
残量低下に応じて自動着陸を行う、または帰還動作に切り替える。航法システム異常の識別
GNSS異常、IMU異常、コンパスエラーなどを迅速に判別し、安全な操作に移行するための知識が操縦者に求められる。
フェールセーフ機能は「最後の砦」であり、操縦者が事前に設定内容を把握していることが重要である。
事前準備としての緊急時対応計画
異常時対応を確実に実行するため、運航者は飛行前に緊急時対応計画を作成・準備する。
1. 緊急着陸地点(ELS)の確保
離陸地点へ戻れない場合を前提に、飛行経路付近の安全な無人地帯を複数選定しておく。
第三者や建物への危害が生じない位置を優先し、関係者間で共有しておく。
2. 緊急時対応手順の策定
特に高リスクのカテゴリーⅢ飛行では次の内容が期待される。
墜落時の被害拡大抑制計画(消防・警察など初期対応者への連絡手段を含む)
有人航空機への影響が生じる恐れがある場合の航空管制等への警告手順
フェールセーフが作動しない場合の代替操作手順
多機ドローン運用時の指示系統および停止手順
3. 訓練と検証
策定した計画は、机上訓練などで手順を検証し、実効性を確認する必要がある。
総括
緊急時対応は、フェールセーフ機能による自動的な安全動作を前提としつつ、操縦者の判断力、運航者の計画、現場の安全管理が連携して初めて効果を発揮する。
異常事態の発生時に被害を最小限に抑えるためには、事前の準備と訓練、そして何より人命救助を最優先とした行動が不可欠である。