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ドローン大辞典

隣接リスク|用語解説|ドローン大辞典

概要

隣接リスクとは、ドローンの運航において、オペレーション空間の外側に存在する隣接領域が有するリスクを評価する概念である。
国土交通省が推奨する「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」では、運航リスク評価の一環として、想定飛行空間および想定外飛行空間の周囲にある領域を対象に、その危険性と管理の必要性を検討することが求められる。
特にカテゴリーⅡ・Ⅲ飛行においては、隣接領域が高リスクの場合、逸脱防止のための厳格な対策が運航者に求められる。

「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」
福島ロボットテストフィールド:https://rtf.f-rei.go.jp/


定義

隣接エリア(隣接領域)とは、次の要素に隣接する区域を指す。

ドローンが制御不能となり、オペレーション空間から逸脱した場合に重大な影響を及ぼす可能性がある区域が隣接エリアに該当する。


隣接リスクの検討が必要となるケース

隣接エリアが、オペレーション空間と比較して著しく地上リスクまたは空中リスクが高い場合、逸脱に対する厳重な管理が必要となる。

代表的な高リスク隣接エリア:

  • ARC-d(残留空中リスククラスの最も高い分類)に該当する空域

  • 空港等周辺の空域

  • 飛行が認められていない集会上空

  • 人口集中地区(DID地区)における立入管理措置を適用したカテゴリーⅡ飛行の周辺区域

  • 地上リスククラス低減のためのM1軽減策を適用している場合の隣接区域(逸脱で軽減策が無効化される可能性がある)

これらのエリアが隣接する場合、逸脱が発生した際の影響が大きく、追加の安全確保措置が求められる。


隣接リスクへの対応と運航者に求められる対策

隣接エリアのリスクが高い場合、運航者はその危険性を認識し、逸脱を防止するための最善の対策を検討し実施する責任がある。

運航者が講ずるべき主な対策(例示)

  1. 逸脱確率の管理
    オペレーション空間から逸脱する確率を、10⁻⁴ / Flight Hour未満とすることを目標とする。

X / Flight Hour::リスク評価で使われ、フライト1時間あたり1万回に1回の頻度を示す安全上の確率指標。
10⁻⁴ / Flight Hourの場合、フライト1時間あたり0.0001、つまり1万回に1回の発生確率を示す。

  1. 単一故障への耐性確保
    無人航空機システムや運航を支える外部システムの単一故障によって、オペレーション空間を逸脱しないように設計・運用を行う。

  2. ソフトウェア・ハードウェアの開発基準の順守
    オペレーション空間の逸脱に繋がる可能性のあるソフトウェア(SW)やエアボーンエレクトロニックハードウェア(AEH)は、航空局が適切と認める業界標準または方法に基づいて開発する。

これらの措置は、安全目標(OSO)#05(信頼性)、#10(安全な復旧)、#12(運航管理)、#14(継続的改善)などと密接に関連する。


法制度との関係

隣接リスクは航空法に明示されている用語ではないが、以下の制度や運用基準と関連する。

  • 航空法第132条の87:特定飛行(カテゴリーⅡ・Ⅲ)における許可・承認

  • リスク評価ガイドライン:隣接エリアの評価が明示的に求められる

  • 立入管理区画の設定および緩衝地域の設計

  • 想定飛行空間・想定外飛行空間の範囲設定

カテゴリーⅢ飛行では、隣接リスクの評価内容が運航マニュアルや飛行計画書に取り込まれ、航空局審査で確認されることがある。


実務上の留意点

  • 飛行前に周辺環境の調査を行い、隣接エリアの危険要因を把握する。

  • 想定外飛行空間の設定時に、隣接エリアのリスクレベルを考慮する。

  • 強風・地形・建造物の影響による逸脱可能性を分析する。

  • 自律飛行を行う場合は、ウェイポイントの間隔や制御精度を踏まえ、逸脱リスクを減らす設計と監視体制が必要。

  • 高リスク隣接エリアに面する運航では、OSO要件に基づき複数の安全対策を併用することが望ましい。


関連用語:地上リスク/空中リスク/オペレーション空間/想定飛行空間/想定外飛行空間/緩衝地域/ARC/GRC/SAIL/安全目標(OSO)/カテゴリーⅡ/カテゴリーⅢ/航空法/リスク評価ガイドライン


外部リンク

無人航空機リスク評価ガイドライン
福島ロボットテストフィールド:https://rtf.f-rei.go.jp/