ドローン大辞典
異常事態|用語解説|ドローン大辞典
概要
異常事態は、ドローン運航中に発生しうる事故や重大インシデント、機体の不具合、外乱、第三者の進入など、通常の運航では想定されない状況を指す。これらは安全確保措置やリスク管理の中心的概念であり、運航者・操縦者には即時対応と報告義務が課される。特に事故や重大インシデントは、異常事態の中でも最も深刻なケースとして扱われ、国土交通大臣への報告が義務付けられている。
事故と重大インシデントの定義
異常事態の中でも、事故と重大インシデントは法律上明確に定義されている。
事故
次の事態が発生した場合を指す。
人の死傷(重傷以上)
第三者の所有物の損壊(規模や金額の大小は問わない)
航空機との衝突または接触によって、航空機・無人航空機のいずれかに損傷が生じたもの
重大インシデント
事故が発生するおそれがあると認められる事態で、以下が該当する。
飛行中の航空機との衝突または接触のおそれがあった場合
無人航空機による軽傷の人身事故
機体の制御不能
飛行中の発火
異常事態発生時の措置
操縦者は、事故や重大インシデントを含む異常事態が発生した場合、直ちに以下を実施しなければならない。
1. 直ちに行う措置
飛行の即時中止
負傷者の救護・通報:被害拡大防止のための措置を含む
警察・消防への連絡(状況に応じて火災通報や初期消火など)
機体の安全確保:墜落機体の電源遮断、交通・周囲への危険の排除
記録の保全:飛行ログ等の保存は再発防止に重要
報告義務
事故または重大インシデントが発生した場合、運航者は速やかに国土交通大臣へ報告しなければならない。
DIPS(事故等報告機能)による報告
許可を受けた飛行:許可等を行った官署へ
許可を受けない飛行:飛行経路を管轄する官署へ
夜間・執務時間外
24時間運用の空港事務所に電話連絡
異常事態への備え
運航者は、運航中に発生しうる異常事態に備えて、事前の計画と体制を整えておく必要がある。
緊急時の実施手順の策定
機体の異常、第三者の立入り、航空機の接近、急変する気象などへ対応
緊急着陸地点(ELS)の事前選定
飛行中に発生しうる異常・不測の事態(ハザード)
飛行を即時中止すべき事態
突風の発生
特に5m/s以上は標準マニュアルで中止条件
第三者の立ち入り
多数の者が集合する場所を飛行していると判明した場合(承認がある場合を除く)
想定される機体の不具合モード(フェールセーフの対象)
系統 | 想定される不具合モード | 関連する対策の例 |
|---|---|---|
通信系統 | 電波断絶、操縦器故障、混信 | 自動帰還、空中ホバリング維持 |
推進系統 | モーター停止、電圧異常、加熱・発火 | 安全着陸、自動帰還、発火防止 |
電源系統 | 主電源喪失 | 自動帰還、着陸機能 |
自動制御系統 | 制御計算機の故障 | フェールセーフ作動の確実性 |
多くの機体では、ホバリング・自動着陸・自動帰還のいずれかを選択できるモデルもある。
リモートクルーに求められる対応能力
操縦者や補助者(リモートクルー)は、異常・緊急事態を制御できる能力を有する必要がある。
特にカテゴリーⅢ(レベル4相当)では、
などの策定が求められる。