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ドローン大辞典

ドローン農業|用語解説|ドローン大辞典

概要

ドローン農業とは、ドローンを活用して農薬や肥料の散布、作物の生育状況の把握、農作業の自動化・精密化を行う農業手法の総称です。航空法に基づく厳格な運用ルールの下で安全を確保しつつ、センシング技術や高精度測位と組み合わせることで、効率性と持続可能性の両立を目指す取り組みとして位置づけられています。


ドローン農業とは

ドローン農業は、無人航空機であるドローンを農業分野に導入し、散布作業や観測、データ解析を行う取り組みを指します。従来の人力作業や有人航空機に比べて、省力化やコスト削減が期待できる一方、飛行や散布は航空法の規制対象となるため、制度理解と安全管理が不可欠です。


空中散布(農薬・肥料・種子など)

航空法上の位置づけ

ドローンによる農薬や肥料の散布は、航空法において物件投下に該当します。使用する薬剤が引火性液体や毒物類などに該当する場合は、危険物の輸送にも該当します。これらの飛行を行うには、国土交通大臣による承認が必要とされています。

運用ルールの概要

航空局標準マニュアル(空中散布)では、以下のような運用ルールが定められています。

  • 飛行高度は、原則として散布対象となる作物の上空4m以下

  • 操縦者は空中散布の操縦練習を修了していることが求められ、5回以上の空中散布実績を有し、前後方向で安定した姿勢制御ができることが必要

  • 散布範囲や飛行経路下に第三者が立ち入らないよう、補助者の配置や立入管理区画の設定を行う

  • 補助者を配置しない場合は、機体の位置誤差や落下距離を考慮した広い立入管理区画を設定する

  • 危険物の輸送に適した装備や、不用意に物件を投下しない機構を備えた機体であることが求められる

これらの要件を満たすことで、安全性を確保しながら空中散布を行うことが可能となります。


精密農業(センシング・自動化)

高精度測位技術の活用

ドローン農業では、GNSSを利用した高精度測位が重要な役割を果たします。準天頂衛星システム「みちびき」が提供するセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)を活用することで、誤差数センチメートルの位置情報が得られます。これにより、ドローンやトラクターなどの農機の自動走行や、精密な散布制御が可能になります。

この測位方式は、地上の無線通信回線が不要で、衛星から直接補強情報を受信できる点が特徴であり、山間部や通信環境の整っていない地域でも利用しやすいとされています。

センシングデータの活用

ドローンで取得した画像や各種センサーデータを解析することで、作物の生育状況や病害の発生状況、森林資源の状態などを把握する技術開発が進められています。これらのデータを基に、必要な場所に必要な量だけを散布する可変施肥・可変散布が可能となり、資材コストの削減や環境負荷の低減が期待されています。


今後の展望とロードマップ

政府が示す空の産業革命に向けたロードマップでは、スマート農業の推進策として、ドローン農業に関するさまざまな展開が示されています。

  • 傾斜地や果樹への農薬散布、果樹の受粉などへの用途拡大

  • ドローンを用いた鳥獣害対策や追い払い、繁殖抑制に向けた実証実験

  • 林業分野における苗木運搬への活用と普及

  • スマート農業技術活用促進法に基づく技術開発・導入支援

これらの取り組みにより、ドローン農業は散布作業にとどまらず、データと自動化を基盤とした次世代農業システムの中核として発展していくことが想定されています。


関連用語:空中散布/物件投下/危険物の輸送/航空法/国土交通大臣/補助者/立入管理区画/GNSS/みちびき/CLAS/可変施肥