ドローン大辞典
準天頂衛星|用語解説|ドローン大辞典
概要
準天頂衛星システムは、日本のほぼ真上を通過する軌道を持つ複数の衛星を組み合わせ、日本およびアジア・オセアニア地域に特化した測位・補強・防災サービスを提供する地域衛星測位システムである。ビル街や山間部でも高仰角からの信号を確保しやすく、従来の衛星測位の弱点を補完する役割を担っている。
準天頂衛星システム「みちびき」の特徴
準天頂衛星は、日本の天頂付近に長時間とどまる8の字軌道を採用している点が最大の特徴である。この軌道により、以下のような利点が得られる。
ビルや山に遮られにくく、安定した受信が可能
常に高仰角の衛星信号を利用でき、測位精度が向上
米国のGPSを補完・補強し、日本向けに最適化されたサービスを提供
この仕組みにより、都市部や中山間地域におけるドローン運用や測量作業の信頼性が高められている。
運用体制と拡張計画
準天頂衛星システムは段階的な拡張が計画されており、衛星数の増加によって測位の自立性と冗長性が強化される。
4機体制
2018年11月から、準天頂軌道3機と静止軌道1機の計4機で運用されている。GPSを補完する形で測位サービスを提供している。7機体制(2026年度以降)
2024年度から2025年度にかけて追加衛星を打ち上げ、2026年度から7機体制での運用開始が予定されている。これにより、GPSに依存せず、みちびき単独での持続測位が可能となる。11機体制(将来構想)
将来的には、どの1機が故障しても機能を維持できる体制を目指し、11機体制への拡張が検討されている。
提供される主なサービス
準天頂衛星は、位置情報の提供にとどまらず、多様な付加価値サービスを提供している。
衛星測位サービス(GPS補完)
GPSと互換性のある信号を送信し、GPS衛星の一部として利用できるサービスである。利用可能な衛星数が増えることで、測位の安定性が向上する。
測位補強サービス(高精度測位)
測位誤差を補正する情報を送信し、センチメートル級からサブメートル級の高精度測位を実現する。
CLAS
国土地理院の電子基準点データを活用し、誤差数センチメートル級の測位を可能にする。測量、建設、ドローンの精密着陸などに利用される。SLAS
誤差約1メートル級の補強サービスで、既存の受信機を小規模に改良することで利用できる。歩行者ナビや車両ナビへの活用が想定されている。MADOCA-PPP
アジア・太平洋地域など広域で利用可能な高精度測位サービスで、数十センチメートル級の精度を提供する。
災害・危機管理通報サービス
緊急地震速報や津波警報、Jアラートなどの防災情報を衛星経由で配信するサービスである。地上通信網が途絶した場合でも、衛星を通じて情報伝達が可能となる。加えて、避難所情報を収集する衛星安否確認サービスも提供されている。
セキュリティ機能(信号認証)
測位信号になりすますスプーフィングへの対策として、信号の発信元を認証し、測位情報の信頼性を高める機能が導入されている。
ドローン分野での活用
ドローン分野では、準天頂衛星の高精度測位が以下の用途で活用されている。
これらにより、ドローンの自律性と安全性が大きく向上している。
位置づけと今後の展望
準天頂衛星は、日本の測位インフラを支える基盤技術として、ドローン、建設、測量、自動運転、防災といった分野の高度化を支えている。衛星数の拡張とサービスの進化により、今後さらにその重要性は高まると考えられる。
関連用語:GNSS/RTK/CLAS/SLAS/MADOCA-PPP/電子基準点/ドローン測位/i-Construction