ドローン大辞典
センシング|用語解説|ドローン大辞典
概要
センシングとは、対象物に直接触れることなく、カメラや各種センサーを用いて形状・性質・状態などを計測し、数値や画像データとして取得する技術を指す。農業、建設、インフラ管理など幅広い分野で活用されており、業務の効率化や判断の高度化を支える基盤技術として位置付けられている。
農業分野におけるセンシング
農業分野では、作物やほ場の状態を客観的なデータとして把握し、経験や勘に依存しない判断を行うためにセンシングが利用されている。いわゆるスマート農業を構成する中核要素の一つである。
生育状況の把握(マルチスペクトルセンシング)
マルチスペクトルカメラを用いることで、可視光に加えて近赤外線などの波長情報を取得できる。これらのデータからNDVIなどの植生指数を算出し、作物の生育量や活性度を定量的に評価する。
NDVIは、近赤外線と赤色光の反射率を用いて算出され、値が大きいほど生育が良好であると解釈される。ほ場内の生育ムラを可視化することで、可変施肥や収穫適期の判断に活用されている。
可視光カメラによる簡易センシング
高価なマルチスペクトルカメラを用いず、一般的なRGBカメラ画像からGRVIやVARIといった指数を算出する手法も普及している。導入コストを抑えつつ、生育傾向を相対的に把握できる点が特徴である。
その他の農業センシング
ドローン画像とAI解析を組み合わせることで、病害虫や雑草の発生箇所を自動検出し、農薬のピンポイント散布につなげる取り組みが行われている。また、サーマルカメラを用いた温度センシングにより、水分ストレスや排水不良の兆候を把握する手法も実用化されている。
インフラ・測量分野におけるセンシング
建設やインフラ管理の分野では、地形の三次元化や構造物の異常検知を目的として、多様なセンシング技術が用いられている。
写真測量によるセンシング
ドローンで高いラップ率を確保して撮影した多数の写真を用い、SfMやMVSといった解析手法により三次元形状を復元する。地形の凹凸計測、土量算出、災害現場の状況把握などに利用されている。
レーザーセンシング(LiDAR)
レーザー光を照射し、反射時間から距離や形状を計測する手法である。樹木の隙間を通過して地表面を捉えられるため、森林下の地形把握や地籍調査において有効とされている。
熱赤外線センシング
対象物の表面温度を可視化する技術であり、ダムや水路における漏水箇所の特定、太陽光パネルの異常発熱検知、夜間の鳥獣検知などに活用されている。
水中センシング
水中ドローンや音響測深機を用い、目視できない水中の地形や構造物、堆砂状況を把握する。浚渫工事や港湾管理などで利用されている。
ドローンと人工衛星の使い分け
センシングには人工衛星も利用されるが、ドローンとは特性が異なる。人工衛星は広範囲を一度に観測できる反面、雲の影響を受けやすく、解像度は数メートル単位となる場合が多い。
一方、ドローンは撮影範囲こそ限定されるものの、曇天時でも運用可能であり、数センチから数ミリ単位の高解像度データを取得できる。広域把握には衛星、詳細調査にはドローンといった使い分けや併用が一般的である。
センシングと位置情報の関係
センシングデータを実務で活用するためには、撮影位置を正確に把握することが不可欠である。そのため、RTK-GNSSなどの高精度測位技術と組み合わせ、数センチメートル級の位置精度を確保したデータ取得が重視されている。