ドローン大辞典
スマート農業|用語解説|ドローン大辞典
概要
スマート農業とは、ロボット技術、人工知能、IoTなどの先端技術を活用し、省力化や精密化、高品質生産を実現する農業の取り組みを指す。日本では農業従事者の減少と高齢化による労働力不足が深刻化しており、その解決策としてSociety 5.0の農業分野における実装として位置づけられている。
自動化・ロボット技術による作業の省力化
スマート農業では、人手に依存してきた作業や熟練を要する作業を、機械が代行または支援する技術が導入されている。無人で走行するロボット農機や、有人機と無人機が協調して作業を行うシステムにより、1人あたりが管理できる作業面積の拡大が図られている。
田植機やコンバインには直進キープ機能や自動運転アシスト機能が搭載され、不慣れな作業者であっても一定の精度を保った作業が可能となっている。収穫分野では、トマトやイチゴなどを対象とした収穫ロボットの開発が進み、作物の状態を判別して収穫適期を判断する技術が実証されている。
また、畦畔や中山間地域での重労働である草刈り作業を省力化する草刈りロボットや、重量物の運搬時の身体的負担を軽減するアシストスーツなども、就労環境の改善を目的として活用されている。
ドローン・センシング技術の活用
空からの視点とセンサーデータを活用する技術は、スマート農業の中核をなす要素の一つである。ドローンを用いた農薬や肥料の散布により、作業時間の大幅な短縮が可能となり、生育状況に応じて必要な場所に必要な量だけを散布する可変施肥やピンポイント散布が実用化されている。
ドローンや人工衛星による画像データの解析では、作物の生育状況や病害虫、雑草の発生を可視化できる。これにより、広域なほ場の巡回作業を効率化し、追肥や防除、収穫時期の判断といった意思決定を支援する。
そのほか、水稲の直播、果樹の受粉、農産物の運搬、鳥獣害対策など、ドローン技術は多様な農作業に応用されている。
水管理と環境制御
水管理分野では、遠隔操作や自動制御が可能な給水バルブや落水口を用いた自動水管理システムが導入されている。これにより、水田の見回りや操作にかかる労力を大幅に削減することが可能となる。
施設園芸では、ハウス内の温度、湿度、二酸化炭素濃度などをセンサーで計測し、AIを用いて最適な環境を自動制御するシステムが利用されている。これらの技術により、安定した生産環境の維持と品質向上が図られている。
データの活用と共有
スマート農業では、個々の作業や機械から得られるデータを活用し、農業全体の効率化を進める取り組みが行われている。農業データ連携基盤を通じて、異なるメーカーの農機やシステムのデータを連携させ、生産から流通、消費までを見据えたデータ活用が進められている。
また、熟練農家の判断や作業手順をデータや映像として記録し、新規就農者への技術継承に活用する取り組みも行われている。高額な農機については、地域での共同利用や作業代行サービスの活用により、導入コストを抑える動きも見られる。
スマート農業の位置づけ
スマート農業は、労働力不足への対応にとどまらず、農作業の効率化、収量や品質の向上、さらには化学肥料や農薬の使用量削減による環境負荷低減を目指す取り組みである。先端技術とデータを活用した持続可能な農業の実現に向けた基盤として位置づけられている。