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ドローン大辞典

可変施肥|用語解説|ドローン大辞典

概要

可変施肥とは、農地や作物の状態に応じて、場所ごとに肥料の量を自動的に調整して散布する技術である。本記事では、可変施肥の定義、技術的な仕組み、導入によって期待される効果、実証事例に基づく具体的な活用と成果について整理する。


可変施肥の定義と位置づけ

可変施肥とは、ほ場内の生育状況や土壌条件の違いを踏まえ、肥料の散布量を一律ではなく場所ごとに変化させる施肥技術である。作物の生育ムラを解消し、収量や品質の向上、肥料コストの削減を目的として導入される。経験や勘に依存していた従来の施肥作業を、データに基づいて制御する点に特徴がある。


センシングデータを用いた施肥量制御

可変施肥の代表的な方法の一つが、センシングデータを基にした施肥量制御である。ドローンや衛星によってほ場を撮影し、作物の生育状況や土壌の状態をデータとして可視化する。この際、マルチスペクトルカメラを用いて作成されるNDVI(正規化植生指数)マップなどが利用される。

これらのマップを基に、生育が不十分な場所には多く、十分な場所には少なく施肥する設計を行い、その設計情報を処方箋としてドローンや対応する農機に連携させることで、散布量が自動的に制御される。


リアルタイムセンシングによる施肥制御

もう一つの方法が、作業中にリアルタイムで状況を計測しながら施肥量を調整する方式である。これは事前に作成したマップを使用せず、その場の計測結果に基づいて施肥量を制御する。

  • 田植機では、土壌センサーによって土の肥沃度や深さを計測し、植え付けと同時に基肥の量を自動的に調整する

  • 追肥機では、機体前方に搭載された生育センサーが作物の色や生育量を読み取り、その情報から最適な追肥量を算出して散布を行う


導入によって期待される効果

可変施肥を導入することで、ほ場内の生育バラつきを抑制する効果が期待されている。生育が過剰な箇所への施肥を抑え、生育が不足する箇所に重点的に施肥することで、全体としての品質と収量の安定化につながる。

また、地力の高い場所への過剰な施肥を回避できるため、肥料コストの低減が可能となる。余分な施肥を抑制することは、環境負荷の低減にも寄与する。さらに、データに基づく自動制御により、熟練者でなくても一定の精度で施肥作業を行うことができ、作業の省力化と効率化が図られる。


実証事例に基づく活用と成果

可変施肥は、複数の作物や地域で実証事例が報告されている。

  • 三重県のつじ農園では、水稲および小麦を対象に、リモートセンシング用ドローンで解析した生育データを用いて追肥の要否を判定し、散布用ドローンと連動させて追肥を実施した。その結果、水稲「つきあかり」で5.8%、小麦「あやひかり」で4.5%の増収が報告されている

  • 露地野菜であるほうれん草では、ドローンによって生育状況を把握し、粒剤肥料や液肥を必要な箇所に限定して散布する体系の実証が行われている

  • 滋賀県のJAレーク大津では、麦や大豆を対象に、生育ムラの解消による収量および品質の向上を目的として、ドローンを用いた肥料散布が実施されている

これらの事例から、可変施肥は水稲に限らず、麦、大豆、露地野菜など多様な作物に適用されており、スマート農業を構成する重要な技術の一つとして位置づけられている。


関連用語:ドローン/NDVI(正規化植生指数)/マルチスペクトルカメラ/リモートセンシング/スマート農業