ドローン大辞典
安全管理責任者|用語解説|ドローン大辞典
概要
安全管理責任者とは、ドローンの運航において、操縦者とは別に、または操縦者が兼任する形で、飛行の安全を統括・管理する役割を担う者を指す。航空法や審査要領において「安全管理責任者」という統一された資格名称が存在するわけではないが、飛行許可・承認申請時に提出する飛行マニュアルや運航体制の中で、安全飛行管理者や運航管理者といった形で選任し、その役割を明確に定めることが求められている。
定義と制度上の位置づけ
ドローンの制度運用において、安全管理責任者は以下の名称や役割として位置づけられている。
運航管理者
特にカテゴリーⅢなどの高リスク飛行において、操縦者と役割を分担し、運航全体の安全管理を統括する立場として言及される。作業責任者(総括)
実務現場において、飛行可否の判断や全体監視を担う役割として運用されることが多い。
いずれも、ドローンの操縦技能そのものではなく、運航体制や周辺環境を含めた安全確保を責務とする点で共通している。
主な役割と責任範囲
安全管理責任者が担う責任は、操縦操作ではなく、安全に飛行できる条件と体制を維持・判断することにある。
代表的な役割は以下のとおりである。
飛行可否の最終判断
風速や降雨などの気象条件、機体の点検状況、飛行経路や周囲環境を確認し、飛行を開始してよいかどうかを判断する。安全確保体制の構築と監督
補助者の配置や役割分担を決定し、立入管理区画の設定など、第三者の立ち入り制限が適切に行われているかを監督する。
飛行中は天候の急変や他機接近などの状況を監視し、操縦者に必要な助言や指示を行う。緊急時の対応指揮
事故や通信断、機体異常が発生した場合に、飛行中止を指示し、負傷者の救護、警察・消防・航空局への連絡など初動対応を統括する。点検・整備の管理
機体の点検・整備が適切に実施されているか、飛行日誌や点検記録が正しく作成・保存されているかを管理する。
許可・承認申請における必須事項
カテゴリーⅡ以上の飛行を行う場合、飛行許可・承認申請にあたり飛行マニュアルの提出が必要となる。この中で、安全管理体制として以下の事項を明確に記載しなければならない。
安全飛行管理者の選定
誰が安全管理の責任を負うのかを明示する。緊急時の連絡体制
事故発生時の指揮命令系統や、警察・消防・航空局などへの連絡先を定める。点検・整備の責任体制
点検や整備を誰が実施し、誰が最終責任を持つのかを明確にする。
操縦者との関係とCRMの考え方
業務利用や高リスク飛行では、操縦者が操縦操作に集中できるよう、操縦者と安全管理責任者を分ける体制が強く推奨されている。
この考え方はCRM(Crew Resource Management)に基づくものであり、個人の操縦技量だけでなく、チーム全体で安全を確保することを重視する。安全管理責任者は、客観的な立場からスレット(脅威)を早期に把握し、操縦者へ共有する役割を担う。
特にカテゴリーⅢ、すなわち有人地帯での目視外飛行においては、操縦と安全管理の役割分担が重要視され、許可・承認審査でも運航管理体制の妥当性が確認される。
要点整理
安全管理責任者とは、ドローン運航において、飛行の可否判断、安全体制の構築、緊急時対応を統括する総責任者である。許可・承認を得て飛行を行う場合、この役割を担う者を必ず選定し、飛行マニュアルに明確に位置づけておくことが、安全確保と法令遵守の前提となる。