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ドローン大辞典

ブラシレスモーター|用語解説|ドローン大辞典

概要

ブラシレスモーター(Brushless Motor)は、ドローンの推進力を生み出す主動力装置である。モーター内部にブラシ(整流子)を持たない構造を採用した電動モーターであり、従来のブラシ付きモーターと比較して摩耗が少なく、高効率・高出力を実現できることが特徴である。
現代のマルチローター機を含む無人航空機(UAS)のほとんどで採用されており、日本の航空法および国土交通省の安全基準では、モーターは動力システムおよび推進系統の主要構成要素として位置づけられ、その安全設計や適切な整備点検が求められている。


構造と原理

ブラシレスモーターは、永久磁石を備えたローター(回転子)と、電磁コイルを持つステーター(固定子)で構成される。
従来のモーターと異なり、電流の切り替え(整流)は電子回路によって行われ、ESC(Electronic Speed Controller)がこの制御を担い、プロペラが発生する揚力や推力を変化させる。

構造の基本要素:

  • ローター:永久磁石を搭載し、回転運動を発生させる部分。

  • ステーター:固定されたコイル群で、電流の変化により磁界を発生させる。

  • ESC(Electronic Speed Controller):電力と制御信号を供給し、モーターの回転数を調整する。

このブラシレス構造により、摩耗部品が排除され、長寿命かつ高い応答性が実現されている。


特徴と利点

ブラシレスモーターは、ドローンに求められる軽量かつ高効率な出力を提供できる点が最大の強みである。

  • 高効率・低消費電力:電力損失が少なく、バッテリー消費を抑制できる。

  • 高出力・高トルク:小型でありながら高トルクを発生できる。

  • 長寿命・低ノイズ:摩耗部品(ブラシ)が存在しないため、長寿命で保守周期が長く、接触音がなく静粛性が高い。

  • 高応答性:迅速な回転数制御が可能であるため、機体の姿勢制御や自動安定化に迅速に対応し、飛行の安定性に貢献する。


制度上の位置づけ

1. 機体認証と推進系統の信頼性

航空法に基づく第一種機体認証(カテゴリーⅢ飛行に対応)および第二種機体認証(カテゴリーⅡ飛行に対応)では、推進系統を含む無人航空機システム全体の設計基準への適合性、安全性、および信頼性が評価される。
CONOPS(運航概念)の説明に必要な確認事項には、動力システムの種類、出力、性能のモニター方法、バックアップ電源、安全設計などが含まれる。

2. リスク評価(SAIL/OSO)

国土交通省のリスク評価ガイドラインに基づき、カテゴリーⅢ飛行など高リスクな運航のリスク評価を行う際、機体の設計の安全性と信頼性(OSO#05)や、技術的な問題からの安全な復旧(OSO#10)が安全目標(OSO)として定められる。

モーターやESCといった推進系統の故障は重大なハザードにつながるため、以下の設計上の対策がロバスト性の確保のために求められる。

  • 安全な復旧(OSO#10):制御不能や想定飛行範囲からの逸脱を防ぐため、単一故障やソフトウェア開発エラーが生じないよう設計されていること。

  • 外部システム劣化への対処(OSO#12):動力システムをサポートする外部システム(例:バッテリーの電圧監視機能など)の劣化も考慮し、制御不能とならないよう設計されていること。

フェールセーフ機能は、不具合発生時に危機回避機能として正常に作動することが求められ、電波断絶時の自動帰還機能や、電池電圧異常時の発煙・発火防止機能などがその例として挙げられる。これらの機能の根幹には、モーター/ESCシステムの信頼性と制御能力が不可欠である。


関連用語:ESC/プロペラ/フライトコントローラー/フェールセーフ/プリフライトチェック/ロバスト性/安全目標(OSO)/カテゴリーⅡ/カテゴリーⅢ/航空法