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ドローン大辞典

通信遅延|用語解説|ドローン大辞典

概要

通信遅延は、使用する通信方式や電波環境、機体に搭載された通信システムの性能によって大きく変化する。さらに、高リスク運航ではリスク評価の観点から許容される遅延の上限が明確に定められており、安全基準の一部として扱われる。


通信環境と機体性能による遅延

ドローンの通信は主に無線通信によって行われ、その品質は周波数帯や周囲環境の影響を強く受ける。

多くの機体では2.4GHz帯の無線LANが利用されている。この周波数帯は一般的に広く利用可能である一方、多数の機器が同時に使用される環境では電波干渉が発生しやすく、通信遅延や通信途絶の原因となる。

一方で、高性能な画像伝送システムを搭載した機体では、120〜130ミリ秒程度の低遅延を維持しながら、5〜8km程度の長距離伝送が可能な場合もある。このように、通信遅延は機体性能と通信システムの設計に大きく依存する。


リスク評価で求められる遅延要件

第三者上空での飛行(レベル4飛行)など、高リスク運航においては、通信遅延は安全基準として明確に制限される。

C2リンクの遅延上限

操縦者がコマンドを送信してから機体が実行するまでのコマンド&コントロール(C2)リンク全体の遅延は、5秒以内、またはより厳しい条件では3秒以内とされる。

この遅延が大きくなると、操縦入力に対する機体の応答が遅れ、回避行動が間に合わなくなる可能性がある。

トラフィック情報の遅延要件

有人航空機など他機との衝突回避においては、トラフィック情報の更新頻度と遅延も重要である。例えば、3NM(海里)を基準として回避行動を行う場合、更新速度は5秒、遅延は10秒が適切な基準とされる。


遅延を低減する技術(フォグコンピューティング)

多数のドローンが同時に運用される環境や、リアルタイム性が求められる運航では、クラウドとの通信遅延が課題となる。この解決策としてフォグコンピューティングが注目されている。

フォグコンピューティングは、ドローンなどの端末(エッジ)とクラウドの間に中間処理層(フォグレイヤー)を設けることで、データ処理を端末に近い場所で行うアーキテクチャである。

これにより、遠距離のクラウドにすべてのデータを送る必要がなくなり、通信遅延を最小限に抑えることができる。また、リアルタイム処理能力を向上させつつ、バッテリー消費とのバランスを取ることが可能となる。


測位信号における遅延(補足)

通信遅延とは性質が異なるが、GPSなどの測位信号にも伝搬遅延が存在する。衛星からの電波は大気中の電離層や対流圏を通過する際に遅延し、位置誤差の原因となる。

準天頂衛星「みちびき」などは、この遅延誤差を補正する情報を提供することで、測位精度をセンチメートル級に向上させている。


関連用語:C2リンク/電波干渉/GNSS/RTK/リスク評価