ドローン大辞典
オートローテーション|用語解説|ドローン大辞典
概要
オートローテーションとは、回転翼航空機(ヘリコプター)において、エンジンなどの動力が停止した場合でも、降下時に下方から受ける空気の流れを利用してローターを回転させ続け、着陸時の衝撃を抑えながら安全に着地するための機能・飛行方法を指す。主に可変ピッチ機構を備えたシングルローター型のヘリコプターで用いられる、緊急時の重要な安全技術である。
オートローテーションの仕組みと特徴
ヘリコプターは通常、エンジンによってローターを回転させ、揚力を得て飛行している。しかし、エンジントラブルなどにより動力が失われると、通常の飛行状態では揚力を維持できず、墜落の危険が生じる。
オートローテーションでは、機体が降下する際に下方から当たる空気抵抗を利用し、ローターを風車のように回転させる。この過程で、機体の位置エネルギーがローターの回転エネルギーに変換され、一定の揚力が維持される。これにより、降下速度を抑えつつ、着地直前にローター回転数を利用して衝撃を和らげることが可能となる。
この技術は、ローターの角度を自在に変えられる可変ピッチ機構を持つヘリコプター特有のものであり、固定ピッチが一般的な機体では成立しない。
実施に必要な条件
オートローテーションは、単に動力が停止すれば自動的に安全着陸できる仕組みではない。成立させるためには、いくつかの条件が必要とされる。
まず、十分な飛行高度と前進速度が確保されていることが重要である。高度が低すぎる場合や、前進速度が不足している場合には、ローターの回転数を維持できず、揚力が失われるおそれがある。
また、操縦者による適切な操作が不可欠である。動力停止を認識した直後に、ローターのピッチ角を下げるなど、状況に応じた操作を迅速に行う必要がある。
運用上の注意点
オートローテーション機能を備えた機体を運航する場合、その機能が有効に働く高度や速度の範囲を前提として飛行計画を立てることが求められる。特に低高度での飛行が多い運用では、万一の動力喪失時にオートローテーションが成立しない可能性も考慮する必要がある。
また、緊急時に確実に対応するためには、操縦者がオートローテーションの原理を理解し、訓練を通じて操作に習熟しておくことが重要とされている。
マルチローター(ドローン)との違い
一般的なマルチローター型ドローンは、固定ピッチのプロペラを電動モーターで回転させて揚力を得る構造である。そのため、モーターが停止すると揚力を即座に失い、自由落下に近い挙動となる機体が大半である。
この構造上、オートローテーションは主に無人ヘリコプターを含む回転翼航空機(ヘリコプター区分)に特有の安全技術として位置づけられており、マルチローター型ドローンとは明確に区別される。