ドローン大辞典
地籍調査|用語解説|ドローン大辞典
概要
地籍調査とは、土地の位置、形状、地番、地目などを明確にし、筆界を確定するための調査である。本記事では、令和6年の制度改正により里山・農村部(乙1区域)でも実施可能となった、ドローンを用いた航測法を中心に、調査手法の概要、実施の流れ、特徴および留意点について整理する。
航測法による地籍調査の位置づけ
航測法とは、ドローンなどによる航空測量データを活用して筆界を推定し、机上作業を中心に地籍調査を進める手法である。従来は、山村部の乙2区域や乙3区域に限定して航空測量による地籍調査が行われてきたが、制度改正により、里山・農村部に該当する乙1区域においてもドローンを用いた航測法の適用が可能となった。
従来主流であった地上法は、現地で一筆ごとに立会いを行う必要があり、人手不足や地形条件、所有者の高齢化などが課題とされていた。航測法では、高精度なドローン計測データを活用し、現地作業を最小限に抑えた調査が可能となる。
調査に用いられるデータ取得手法
航測法による地籍調査では、対象地域の状況に応じて、写真測量とレーザ測量を使い分け、または併用する。
ドローンによる空中写真測量は、道路、水路、耕作地など、上空から視認性の高い場所に適しており、地上画素寸法0.02m以内の高解像度画像を取得する。一方、耕作放棄地や森林など植生に覆われた区域では、ドローンレーザ測量が有効であり、草木の隙間を通過したレーザにより地表面の形状、すなわちグラウンドデータを取得できる。
解析図面の作成と活用
取得した計測データから、筆界を推定するための基礎資料として、複数の解析図面が作成される。これらの作成には、地形解析の技術が用いられる。
オルソ画像は、航空写真を正射投影した画像であり、地図と重ね合わせて位置関係を確認するために使用される。微地形表現図は、レーザ測量データを基に作成され、航空写真では判別が困難な旧来のあぜ道や小規模な水路、段々畑の跡といった微細な地形の起伏を可視化する。林相識別図は樹種や樹冠形状の違いを表現した図であり、樹高分布図は樹木の高さ分布を示す資料として、いずれも境界推定の補助資料として用いられる。
筆界案の作成と確認手続
解析図面、公図、現地の精通者による証言などを総合的に用いて、机上で筆界案を作成する。航測法の特徴は、いきなり現地で立会いを行うのではなく、高精度なデータに基づく筆界案を事前に作成し、確認作業のたたき台とする点にある。
作成した筆界案は、公民館などの集会所において、土地所有者に提示される。GISを活用し、大型モニターに3次元モデルやオルソ画像を表示することで、所有者は現地に赴くことなく、境界位置の確認を行うことができる。この手法は、高齢者や遠隔地居住者の負担軽減に寄与する。
実施上の利点と留意点
航測法による地籍調査は、急斜面や藪地など危険な場所での現地作業を減らし、安全性と作業効率を高める効果がある。また、レーザ測量による微地形表現を用いることで、現地では視認できない地形情報を可視化でき、所有者の理解と合意形成を支援する。
一方で、ドローン計測で取得できない箇所や、境界杭など数センチ単位の精度が求められる地点については、現地での補備測量が必要となる。航測法は、現地測量を完全に代替するものではなく、両者を適切に組み合わせて実施される。