ドローン大辞典
樹高分布図|用語解説|ドローン大辞典
概要
樹高分布図は、森林や里山における樹木の高さの違いを面的に表現することで、現地では判別が難しい土地利用の違いや管理履歴の差を読み取るための図面である。特に地籍調査では、樹高の段差や分布の変化が筆界推定の有力な手がかりとなる。
樹高分布図の作成原理
樹高分布図は、ドローンレーザ測量などによって取得された二種類の標高モデルの差分計算によって作成される。
計算の考え方
DSM(数値表層モデル)からDEM(数値標高モデル)を差し引くことで、地表面からの高さ、すなわち樹高を算出する。DSMの役割
樹木や建物など、地表面で最も高い位置を含んだ標高データである。DEMの役割
樹木や構造物を除去し、地面そのものの高さを表した標高データである。
この差分処理により、各地点に存在する樹木の高さのみを抽出することが可能となる。
地籍調査における活用目的
樹高分布図は、森林や耕作放棄地など視認性の低い区域において、筆界推定のための重要な判断材料として用いられる。
林齢や樹種の違いの把握
隣接する土地で植林時期が異なる場合、樹高に明確な差が生じることが多い。この差が連続的なラインとして現れることで、筆界である可能性が高いと判断できる。森林ギャップの確認
帯状に樹木が存在しない箇所や、周囲と比べて樹高が著しく低い箇所は、過去の道、水路、境界帯である可能性があり、筆界推定の補助情報となる。耕作放棄地の区画推定
草木が繁茂して立ち入りが困難な元農地では、周囲の森林との樹高差や内部の植生高の分布を確認することで、かつての区画形状を推定しやすくなる。
表示方法と解析上の工夫
算出された樹高データは、そのままでは判別しにくいため、視覚的に理解しやすい形に加工される。
カラー段彩表示
樹高の大小を色の違いで表現し、高さの変化を直感的に把握できるようにする。陰影表現
樹高データに陰影処理を施し、立体的な凹凸として認識しやすくする。他図面との併用
林相識別図や微地形表現図と重ね合わせて解析することで、樹木の種類、地形、樹高という異なる視点から総合的な判断が可能となる。
実務上の位置づけ
樹高分布図は、写真だけでは把握できない植生の立体構造を可視化する図面であり、地籍調査における筆界推定の精度向上に大きく寄与する。特に人が立ち入れない森林内や耕作放棄地において、客観的かつ再現性のある判断材料として重要な役割を果たしている。