ドローン大辞典
SLAS|用語解説|ドローン大辞典
概要
SLASとは、準天頂衛星システム「みちびき」が提供する測位補強サービスの一つで、一般的なGPS単独測位よりも高精度なサブメータ級の位置情報を、低コストかつ手軽に利用できる点を特徴とする。ドローン運用を含む幅広い分野において、「精密すぎないが安定した位置情報」が求められる用途で活用されている。
SLASの概要と精度
SLASは Sub-meter Level Augmentation Service の略称で、その名の通りサブメータ級の測位精度を実現するサービスである。
一般的なGPS単独測位では、誤差が5〜10m程度生じるのに対し、SLASを利用することで水平方向の誤差はおおむね1m程度、垂直方向は約2m程度に抑えられる。サービス提供は2018年11月に開始されており、日本国内を対象として安定した運用が行われている。
SLASの最大の特徴と位置づけ
SLASの最大の特徴は、高精度測位サービスでありながら、導入のハードルが非常に低い点にある。
SLASはL1S信号を用いて補正情報を配信しており、この信号は一般的なGPSで使用されているL1C/A信号と同一周波数・互換形式である。そのため、多くの場合、既存のGNSS受信機をファームウェア更新などの軽微な改良で対応させることが可能であり、高価な専用受信機を必要としない。
この点が、センチメートル級測位を実現する他の補強サービスとの大きな違いとなっている。
CLASとの違いと使い分け
「みちびき」には、SLASよりも高精度なCLASという測位補強サービスも存在する。両者は目的に応じて使い分けられる。
特徴 | SLAS (サブメータ級) | CLAS (センチメータ級) |
目標精度 | 誤差 1m 程度 | 誤差 数cm |
利用信号 | L1S信号 | L6D信号 |
受信機 | 既存の安価な受信機で対応可 | 専用の受信機が必要 |
用途 | カーナビ、歩行者ナビ、船舶、ドローンの概略位置把握など | 自動運転、精密農業、測量、ドローンの着陸制御など |
測位方式 | DGPS(広域DGPS) |
仕組みとサービス特性
SLASでは、国土地理院の電子基準点などから得られる観測データを基に、衛星軌道誤差、衛星時計誤差、電離圏遅延などの誤差要因を算出し、その補正情報を準天頂衛星「みちびき」から配信している。
サービスエリアは日本国内で、測位開始から安定するまでの初期収束時間は30秒以下と非常に短い。この即応性の高さも、実用面で評価されているポイントである。
今後の展開と期待
今後は、補強対象となる測位信号として、既存のGPS信号に加え、欧州の測位衛星であるGalileoの信号も含める検討が進められている。これにより、都市部や山間部における測位の安定性向上が期待されている。
SLASは、「コストを抑えつつ、通常のGPSよりも一段階上の精度を得たい」というニーズに適した測位サービスであり、ドローンの安定飛行や概略位置管理といった用途において、今後も重要な役割を担うと考えられる。