ドローン大辞典
ICT土工|用語解説|ドローン大辞典
概要
ICT土工とは、建設現場においてドローン、レーザースキャナー、ICT建設機械などの情報通信技術を活用し、測量・設計・施工・検査の各工程を3次元データで一貫して管理する土工手法である。本記事では、ICT土工における出来形管理の考え方、用いられる計測技術、精度管理のルール、取得データの活用方法について整理する。
ICT土工の定義と基本的な考え方
ICT土工は、従来の2次元図面や部分的な測量結果に基づく管理から、3次元データを中心とした管理へ移行する取り組みである。特に、施工が設計通りに行われたかを確認する出来形管理において、3次元計測技術を用いる点が大きな特徴となる。
測量、設計、施工、検査を個別に扱うのではなく、同一の3次元データを基準として連携させることで、作業の効率化と品質の均一化が図られる。
面管理への転換と従来手法との違い
従来の土工では、20m間隔などで設定された断面を基準に出来形を管理する方法が一般的であった。この方法では、断面間の形状変化を十分に把握できない場合があった。
ICT土工では、3次元点群データを用いた面管理を行う。施工面全体を面的に把握できるため、局所的な過不足だけでなく、現場全体の形状を高密度に確認できる点に特徴がある。
ICT土工で用いられる主な計測技術
ICT土工の出来形管理では、目的や現場条件に応じて複数の計測技術が使い分けられる。
空中写真測量(ドローン)
ドローンで撮影した連続写真から、SfM解析により3次元点群データを作成する方法である。広範囲を短時間で面的に計測できる点が特徴とされる。出来形管理に用いる場合、位置精度は±0.05m以内が標準とされている。生成された点群から、植生や建設機械などの不要な点を除去し、グラウンドデータを作成する。
レーザースキャナー
レーザーを照射して地形を計測する手法であり、設置形態により複数の方式がある。
地上型レーザースキャナーは、三脚に固定して計測を行う
ドローン搭載型レーザースキャナーは、上空から植生の隙間を通して地盤を計測するのに適している
地上移動体搭載型レーザースキャナーは、車両などに搭載して移動しながら計測する
施工履歴データを用いた出来形管理
ICT建設機械が施工中に記録する刃先の軌跡データを、そのまま出来形成果として利用する手法である。施工と同時に計測が行われるため、施工後の測量作業を省力化できる。
ICTバックホウは、バケット刃先や背面の座標を記録する
ICTブルドーザは、排土板下端や履帯下面の座標を記録する
3DMGローラは、鉄輪接地面の軌跡から締固め状況を管理する
盛土工、掘削工、路盤工、地盤改良工などが主な適用工種とされている。
モバイル端末のLiDAR
スマートフォンやタブレットに搭載されたLiDARセンサーを用い、簡易的に3次元点群を取得する方法である。小規模な土工や構造物の計測に利用される。
精度管理と確認ルール
ICT土工では、取得したデータの信頼性を担保するため、精度管理が重視される。一般的な土工の出来形計測では、鉛直方向および平面方向ともに±50mm以内の測定精度が基準とされている。
ドローンやレーザースキャナーで作成したデータについては、現地に設置した検証点をトータルステーションなどで実測し、データ上の座標との較差が基準内であることを確認する必要がある。
施工履歴データを出来形管理に用いる場合には、作業開始前および施工後に、刃先位置の精度確認試験を行い、計測精度が維持されていることを証明する。
3次元データの活用方法
取得した3次元点群データは、3次元設計データと重ね合わせることで、多様な処理に利用される。
設計との差分から盛土量や切土量を算出する土量計算
設計に対する高さの過不足を色分け表示するヒートマップによる可視化
出来形管理資料を自動生成する帳票作成
これらの処理により、出来形の確認作業が効率化され、検査業務の省力化が図られる。
関連用語:ドローン/i-Construction/出来形管理/点群データ/写真測量/レーザースキャナー/ICT建設機械/検証点