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ドローン大辞典

NDフィルター|用語解説|ドローン大辞典

概要

NDフィルター(Neutral Density Filter)とは、レンズに入る光の量を均等に減少させるための減光フィルターのことである。ドローンによる空撮においては、カメラセンサーへの過剰な光の流入を抑え、シャッタースピードを適切にコントロールするために使用される。特に動画撮影では、映像の滑らかさ(モーションブラー)を確保するために不可欠なアクセサリーとして位置づけられている。


NDフィルターの基本機能

NDフィルターは、発色や色相に影響を与えることなく、光の透過量のみを減少させる機能を持つ。「Neutral(中立な)」という名称の通り、色彩を変えずにレンズにサングラスをかけるような役割を果たす。

カメラの露出は、主にISO感度、絞り(F値)、シャッタースピードの3要素で決定される。晴天時の屋外など光量が非常に多い環境では、ISO感度を最低に設定しても光過多となり、露出オーバー(白飛び)を引き起こす場合がある。このような状況下で、強制的に光量を落とし、適正な露出を得るためにNDフィルターが利用される。


ドローン空撮における重要性と効果

一眼レフカメラなどと異なり、多くのコンシューマー向けドローン(DJI MiniシリーズやAirシリーズの一部など)は、カメラの絞り(F値)が開放で固定されている仕様が多い。そのため、光量を調整する手段がシャッタースピードに限られてしまう問題がある。NDフィルターの使用には以下の効果がある。

  • 自然なモーションブラーの生成 動画撮影には、シャッタースピードをフレームレートの約2倍の逆数(例:30fpsなら1/60秒)に設定すると、人間の目の残像感に近い自然な動きが表現できるという「180度ルール」がある。NDフィルターがない場合、晴天時にはシャッタースピードを1/1000秒などに上げざるを得ず、結果としてパラパラとした不自然な動き(カクつき)のある映像になりやすい。NDフィルターで減光することで、シャッタースピードを適正値まで下げることが可能になる。

  • 白飛びの防止 真夏の直射日光や海面からの反射光など、強烈な光源下ではセンサーのダイナミックレンジを超えて映像が真っ白になる白飛びが発生する。NDフィルターを装着することでこれを防ぎ、空の青さや雲の階調を維持できる。

  • ローリングシャッター歪みの抑制 プロペラの回転振動などにより、高速シャッター時には映像がこんにゃくのように歪む「ジェロ現象」が発生しやすい。シャッタースピードを遅くすることで、この現象を目立たなくする効果が期待できる。


種類の規格と選び方

NDフィルターには「ND」に続く数値が記載されており、これは光量を何分の一に減らすか(減光量)を表している。数値が大きいほどフィルターの色が濃く、透過する光量が少なくなる。ドローン空撮では、天候や時間帯に応じて適切な濃度のフィルターを交換して使用する。

  • ND4 / ND8 曇りの日や、日の出・日没前後の薄暗い時間帯に適している。光量はそれぞれ1/4、1/8になる。

  • ND16 / ND32 一般的な晴天や、日中の明るい時間帯に適している。ドローン撮影で最も使用頻度が高い帯域である。光量はそれぞれ1/16、1/32になる。

  • ND64 / ND128以上 真夏の快晴、雪山、真昼の海辺など、極めて光が強い環境で使用される。長時間露光撮影(スローシャッターで水の流れを糸のように表現するなど)にも用いられる。

  • ND/PLフィルター NDフィルターの減光機能と、反射を除去するPL(偏光)フィルターの機能を併せ持ったタイプ。水面の反射を抑えたり、空の青さを強調したりする場合に使用されるが、回転枠による調整が必要な場合がある。

装着時は、ドローンのジンバル(カメラ安定装置)に物理的な負荷をかけないよう、純正品や重量バランスの取れた製品を選ぶことが推奨される。


関連用語

露出/シャッタースピード/ISO感度/ジンバル/飛行前点検/空撮/フライトコントローラー/フィルター径/RTK/映像ログ