農業支援
【農業支援】「どこに撒いて、どこに撒いてないか、もう分からん」

「どこに撒いて、どこに撒いてないか、もう分からん」
耳をつんざくセミの声、汗がぽたぽたと帽子のつばを伝う。
長野県飯山市の稲作農家・鈴木さん(65)は、2023年の夏、田んぼの中で立ち尽くしていた。
「どこまで薬を撒いたか、途中で分からなくなって……」
その日の気温は35.2℃。猛暑と水田の湿気で意識が朦朧とし、農薬タンクの残量も目視では正確に読めなかった。
私自身も、大学の農学部時代に手作業での葉面散布を経験した。あのむせ返るような薬剤のにおいと、噴霧器の重さは今でも忘れられない。
――「これが毎年、何十ヘクタールも続くなんて、現場は本当に限界だな」
そう痛感した記憶がある。
「機械が撒いてくれる安心感」
鈴木さんが抱えていた最大の課題は、「農薬の撒きムラ」だった。
特に草丈が伸びた後の水稲では、人が歩くたびに葉を押し倒してしまい、物理的に散布の精度が落ちる。
この「ムラ」が後の病気リスクにつながり、実際2022年にはイモチ病が局所的に発生。収量は前年比12.6%減だった(出典:JAながの収穫報告書2022年9月号)。
そこで注目したのが、ドローンによる自動航行型農薬散布。
「どのくらい撒いたか、履歴がデータで残るって聞いて、それが一番安心だった」と鈴木さんは話す。
私たちのチームは、Phantom AGX-T20を使用し、事前に圃場の地形データと風速を反映した最適ルートを作成。
飛行経路のズレは最大でも±0.5m以内に抑えた。
「まさか、朝飯の前に終わるとは」――想定外のスピード感
実際の作業は2024年6月18日午前5時に開始。
合計面積:6.3ha/使用ドローン:1機(予備1機)/飛行時間:合計84分
所要時間は準備〜撤収まで含めて、わずか2時間12分だった。
鈴木さんは驚いたように語った。
「いつも昼過ぎまでかかってたんだ。それが、朝のうちに全部終わっちまった」
また、薬剤使用量も正確に制御され、従来より平均12.8%削減された(同一農薬、同条件下での比較試験。弊社記録2023年〜2024年より)。
これは「空から見える情報」が地上よりも遥かに広く、しかも正確だからこそ可能な成果
“空の相棒”がいる日常へ
今回の導入は、圃場規模6ha以上・65歳の単独経営者・過去3年連続の病害発生という条件の中で行われた。
そのすべての課題に対して、ドローンは1つずつ確実に解を出していった。
機械は冷静で正確だ。けれど、それをどう使うかを決めるのは人間の側。
「空を活かす」ことで、「人を活かす」――そんな未来は、もう始まっている。
あなたの圃場でも、次のシーズンは“空の相棒”を導入してみませんか?
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