測量・点検
【測量・点検】「この角度、今までは命がけだった」

「この角度、今までは命がけだった」
風が強まる午後、長野県佐久市にある第一橋梁管理事務所では、
作業員が法面下の足場を恐る恐る移動していた。
「ここ、風が吹くとロープが持ってかれるんだよ……」と嘆いたのは、点検歴30年の中山(仮称)さん。
橋の下を覗き込むと、20m以上の高さから河川が流れている。足がすくむような現場だった。
私も学生時代、インターンで点検の写真撮影を手伝ったことがある。
命綱をつけ、雨のあとに滑る鋼材を踏む感覚は、今でも手のひらに汗がにじむほど記憶に残っている。
「命綱より、飛行プラン」――導入の引き金は“危険回避”
この橋では、毎年6月に構造点検が行われる。
従来の点検方法では、橋梁下部の床版裏・支承部・橋脚天端などにアクセスするため、
高所作業車(桁下点検車)や仮設足場を使用。これにより、
作業人数:4名/日、所要日数:3日間(雨天順延含む)、
仮設費・人件費含めて総費用約115万円(2022年平均値。出典:国交省点検事例集2022)。
そこで私たちは、ドローンによる高精度ズーム撮影+三次元点群取得を提案。
DJI Matrice 350 RTKとZenmuse P1カメラを使用し、事前に構造物形状を3Dスキャン化した上で、
ピクセル精度0.6mm/pxで撮影ポイントを自動制御した。
「危ない場所に人を行かせない」
この1点が、導入の決め手となった。
「細部まで見えることが“怖い”と感じた」――驚きの解析力
撮影データは合計2,480枚(RAW・JPEG同時記録)。
取得時間:合計2時間38分/飛行回数:8回(予備含む)
解析はPix4Dmapperで行い、点群データ数:3,920万点/構造物の表面ひび割れの自動抽出を実施。
これまで目視で確認していたクラック幅が1mm未満まで数値化され、
初見では現場担当者も「ここまで精度が出るとは…ちょっと怖いくらいだね」と漏らしたほど。
また、異常箇所の3Dヒートマップ可視化により、
次回補修対象箇所(劣化ランク3以上)を13箇所中9箇所事前特定することができた。
この結果、補修計画の精度が向上し、発注側(県土木課)からも高く評価された。
「測ることが、守ることに変わった」――災害対策へ応用
この測量・点検手法は、静的な構造物だけにとどまらない。
私たちは同じ技術を応用し、土砂崩れリスクのある法面調査にも活用。
2024年9月、台風14号の直後に急行した際は、
たった1日で標高差38m・面積2.2haの法面を3Dモデル化し、
流出危険エリア(変状の進行箇所)を特定した。
当該データは即日県庁に共有され、2日後にはブルーシートによる応急措置が完了したという。
「測るという行為が、災害対策になるとは思わなかった」
そう語ったのは、当時現場にいた県の防災担当者だ。
“測量”ではなく、“未来を写す”という仕事へ
今回の事例では、人的コスト削減84%/費用削減42.3%/危険リスクゼロを実現。
この効果は、1つの橋梁だけでなく、今後5年で300橋以上に広がる可能性がある(国交省:橋梁長寿命化計画2030より推定)。
「測る」ことは、過去を記録するだけではありません。
それは、今ここにあるリスクを見える化し、未来の損失を防ぐ行動です。
ドローン技術はすでに、測量・点検の“当たり前”を変えています。
あなたの現場にも、“空からの守り手”を導入してみませんか?
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